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呼吸機能検査(スパイロメトリー)

スパイロメーターという測定装置を用いた呼吸機能検査(スパロメトリー)は、アレルギー・呼吸器疾患において最も基本的な検査法です。安静時の最大吸気量(VC:いわゆる一般的に言う肺活量)に加えて、患者さんに最大の努力で一気に息を吐き切ってもらい、全量でどれくらい吐ききれるか(最大努力性呼気量:FVC)や、特に最初の1秒間にどれくらい吐けるか(1秒量:FEV1)などを測定します。簡便で患者さんの負担も少なく、検査代も安価な検査です。

肺線維症などの、肺が硬くなって拡がりにくく縮んでゆく病気では、VCが低下します。喘息や咳喘息は肺が縮む病気ではないので、通常はVCが下がることは理論上ありません。しかし、喘息でもVCが下がる事例は時に見られます。一つは、気管・気管支に炎症が続いた結果、気管支が狭くなって空気を吸い込みにくくなり、それに対して、胸を拡げて空気を肺に取り入れる筋肉(吸気筋)がそれを補い働き続けることによってオーバーワークを引き起こし、筋力の低下をきたし(呼吸筋疲労)、その結果肺が拡がりにくくなる、いわば機能的な低下です。当クリニックでは開設当初、患者さんが息を吸う筋肉(吸気筋)の力(最大吸気筋力:MIP)を、最大吸気圧 (PImax) を指標に測定していました。患者さんの中には、確かにPImaxが低下している方がおられました。もう一つは、末梢気道と呼ばれる細い気管支に炎症が起きて気管支が狭くなり、吸った空気を十分に吐き出せず、肺の先の部分に空気が溜まり込む状態です(エアートラッピング)。エアートラッピングが起きると、空気を吐ききったあとに肺に残る空気の量(残気量)が、正常の状態よりも多くなるので、目一杯吸っても、肺に取り込む空気の量は少なくなるので、この場合にもVCは低下します。最後の例では、幼少期に感染症をくりかえすなどの結果、肺全体が未発達で、肺自身が小さい場合です。

もう一方のFVCやFEV1は、気管支の閉塞の程度を評価するのに用いられます。FEV1は、加齢と共に1年に20~30ml程度、誰でも低下して行きますが、喘息のコントロールが不良であったり、タバコを吸っていると、その低下の程度は早くなります。この、加齢に伴う低下の日本人男女の標準的な曲線から、その時点で測られた自分のFEV1が、標準曲線に照らすと何歳のFVE1に相当するかを見るのが「肺年齢」です。ご自分では肺に何の問題も無いと思っていたのに、「あなたの肺年齢は、実年齢プラス15歳です」と言われて、ギョッとして病気の意識を高める患者さんもおられます。

このように、スパイロメトリーは、簡便で安価な検査でありながら、患者さんの気道と肺の状態を評価するのに大変優れた検査法です。当クリニックでは、安定した患者さんでは年に1回程度、不安定な方では数回、あるいは増悪した時にはその時点で必要があれば適宜、この検査を実施させて頂き、気道と肺の状態を綿密に評価しています。

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