血液検査
当クリニックで採血・血液検査を実施するのは、以下のような場合です。
- 初診時
- 通院されている患者さんで、1年以上採血の間隔が開いている場合
- 肺炎や強い気管支炎など、その時点での全身状態を評価したい場合
- その他
1・2のケースでは、スクリーニングとしての一般的な血球検査、炎症マーカー(CRP)、肝臓・腎臓機能(肝腎機能)に加えて、アレルギー検査をします。総IgEと、わが国において一般的・標準的なアレルゲンを、保険適応の範囲内の13項目選び、それぞれに対する特異的IgE抗体を測定します。患者さん個々のアレルギー状態によって、選択するアレルゲンは適宜選定します。
3のケースでは、血算、CRP、肝腎機能を測定しますが、百日咳やマイコプラズマなどに罹っている疑いが強い時には、確定診断のために抗体価を併せて測定します。
4のケースでは、血糖値、コレステロール・中性脂肪、尿酸値など、生活習慣病のスクリーニング項目については、患者さんが毎年健診を受けておられる場合、重複することが多いので、通常は測定していませんが、患者さんのご希望があれば、随時測定項目に追加します。同様に、患者さんが、アレルギーについての検査項目の追加を希望される場合、月が替わり、保険適応が再度可能となった時点で、ご希望に応じて実施します。あるいは、ある時点での採血で、例えば肝機能障害が見つかった時などには、その項目について適宜フォローアップを実施します。
測定は専門業者への委託・外注で、結果が出るまで、項目により1~7日程度を要します。データが電子送信されてきた時点で医療スタッフが結果をダブルチェックし、患者さんにすぐにお伝えする必要があれば、登録されている電話番号にご連絡するようにしています。
明らかに連絡する必要の無い場合には、次回の受診時に、検査結果とその意味、今後の注意点などをご説明します。
1年ごとのフォローアップの血液検査には、次の3つの意義があります。
- 患者さんの一般状態に重大な変化が起きていないか
この1年間の間に、貧血を起こすような病気にかかっていないか。白血球の数や形態に異常が無いか。これまでに1例、白血球の分画に軽度の異常が見られ、1か月後に再検しても変わりがないため、血液内科へ紹介したところ、白血病と診断された方がいます。早期に疑い専門医に紹介したために治療で完治し、現在でも元気に当クリニックに通院しておられます。あるいは、CRPという、炎症で上昇するタンパク質を測り、身体の中で何か不自然な炎症が隠れていないかなども、その都度チェックします。 - 処方している薬の副作用が出ていないか
時に、治療で用いている薬の副作用で、貧血、白血球、血小板減少などの血球系の異常や、肝臓・腎臓障害が現れることがあります。これを検出するためにも、定期的な検査は必要です。 - アレルギーの状態が1年間で変化していないか
私たちの身体は、刻々と変化する周囲の環境の影響をいつも受けています。例えば、スギ花粉が大量に飛散した季節の後では、スギに対するIgE抗体価が上昇します。ダニやカビに囲まれた環境で毎日暮らせば、これらに対する抗体価が次第に上昇していき、症状が引き起こされるリスクも増大します。従いまして、抗原(アレルゲン)に対する身体の反応のポテンシャル(抗体価)を定期的に測定することは、患者さんの周辺環境の評価や症状の悪化を予測して早めに対応する点で重要です。IgEを産生する細胞は、最も寿命の長いもの(長寿命IgE産生細胞)でも、数カ月から半年で入れ替わります。従って、半年以上間隔を空ければ、その半年間のある抗原(アレルゲン)に対しての反応性の変化を推定することが出来ます。食べ物のアレルギー、例えばナッツ類のアレルギーでも、近年、特にショック症状と相関性の高いIgE抗体が少しずつ明らかになってきています。こうした特異度の高いIgE抗体を定期的に測定することで、同じナッツアレルギーでも、ショックを起こす可能性が高まっているのか、そうではないのかをチェックし、予防に役立てることは、とても重要です。以上の理由から、当クリニックでは、およそ1年に一度の間隔でアレルギー状態を、他の項目と同時にフォローアップすることを推奨し、通院中のほとんどの患者さんで同意を得た上で実施しています。
尚、当ホームページの「診療方針1.」でも述べているように、当クリニックは、大学病院や総合病院の呼吸器内科・アレルギー内科とできる限り同等の診療レベルで患者さんを拝見することを心掛けております。従いまして、血液検査の内容や頻度も、これらの施設と同程度になります。アレルギー項目(IgE抗体)の検査は測定に専門技術を要し、その分、国で決定している検査代が高くなるのが難点です。当クリニックでも、初診時と年に1度のフォローアップの血液検査の時だけは、ある程度診療費がかかります。一方で、当クリニックでは診察時に、アレルギーや喘息を悪化させないための季節ごとの留意点や、風邪をひいて悪化させないための注意点、あるいはその時点で流行している感染症とその予防対策などについて、大学病院や総合病院では時間の制約で行き届かないきめ細かい指導を心掛けて実施し、必要に応じて院内にも掲示しています。初診時や年に一度の採血時には、罹っておられる病気の本態と管理・治療のポイントを説明して、患者さんご自身で病気への理解を深めて頂くように努め、参考資料をお渡ししています。
患者さんにおかれては、こうしたサービス・ケア全体も付加価値として包括した診療費・検査代であることを、ご理解、ご納得、ご了承された上で、当クリニックへの受診、通院を選択して頂ければ幸いです。