呼気一酸化窒素(NO)測定装置

呼気NO (FeNO:呼気一酸化窒素濃度)測定検査

息を6秒から10秒、一定の強さで吐いて頂き、その中に含まれる一酸化窒素(nitric oxide:NO)と呼ばれる気体の濃度を測定する検査です。NO自体は、健康の人でも鼻の粘膜(主に下鼻甲介と呼ばれる部位)や気道の表面を覆う上皮細胞で常に産生されていて、血液の中に溶けて、血管を広げる働きを担っています。一方で、気管支に炎症が起きると、気道の上皮細胞からのNOの産生が亢進・増強します。その結果、喘息や咳喘息の患者さんでは、病気の勢いが活発な場合、そうした病気のない人のNOの範囲を超えて濃度が高くなります。逆に、FeNOが正常の範囲を超えて高いことは、喘息や咳喘息に罹患している可能性が高いことを示唆しているので、FeNOを喘息や咳喘息の診断の補助として用いることが出来ます。さらに、治療によって気管支で炎症がどの程度抑えられているかを評価することで、薬の減量や中止の判断の指標として用いることもあります。
ただし、明らかに喘息と診断できる例でもFeNOが正常範囲である場合や、コントロールが良くなってもFeNOが高値をとり続ける例もあります。さらに、長身の男性ではしばしば高値を示す傾向も知られています。
従って、この検査だけですべてを判断することはできず、診断や病勢の判定は、患者さんの自覚症状、診察による身体所見や、一般的な呼吸機能検査など、多角的な所見を総合してなされることが基本となります。