トータルライフケアとは

健康は、私たちの身体をつくるおよそ60兆個の細胞が、それぞれの機能を適正に発揮することで維持されています。

健康とは何か

ATPを産生して生命活動を営む仕組み私たちの身体は、栄養と酸素を適切に身体に摂り入れて、これを全身の細胞に隈なく運んで適切に利用し、さらに老廃物をきちんと排出するという一連のサイクルが正しく機能しさえすれば健康を保つことができます。そのためには、呼吸(R)―循環(C)―代謝(M)で形成される「R-C-Mサイクル」が正しく働くことが必要です。Rは呼吸 (Respiration)の、Cは循環 (Circulation)の、Mは代謝 (Metabolism)の頭文字をそれぞれとったものです。「R-C-Mサイクル」は、正式な生物学の用語ではありませんが、院長の土肥が、健康を生み出すしくみをわかりやすく患者さんに説明するために自著の中で用いた用語です。以下、簡単にご説明します。

まず、「呼吸(R)」ですが、「呼吸」という言葉は、単に空気を吐いて吸う行為だけをさすのではなく、もっと広く、空気から酸素を、食べ物から栄養素を身体に摂り入れ、さらに、不要な二酸化炭素や老廃物を身体から排出させる機能を意味しています。

「循環(C)」は、肺から摂り入れた酸素や消化管から吸収した栄養素を、血液の流れに乗せて全身の組織・細胞へ運び、逆に、細胞・組織で産生された二酸化炭素を肺に、代謝で産生された老廃物を肝臓や腎臓に集める機能としての心臓・脈管系(循環系)を意味します。

三番目の「代謝:M」は、細胞の中で、食物に含まれる栄養素から、あるいは一部は自己の体を分解して得た栄養素を、酸素のもとで化学反応によってエネルギーに変換し、アデノシン三リン酸(ATP)の形にして利用する過程を意味します。

RCMサイクルをまわすためには何をすればよいか健康とは、全身の全ての細胞でこの「R-C-Mサイクル」を適切に回転させることに尽きるのです。そして、このサイクルを勢い良く回すために「日常生活の中で様々なことに少しずつ注意して健康を増進させることを目指す」というのが、トータルライフケア(total life care:TLC)という概念です。

TLCを実践することで、今現在何かの病気に罹っている方は、その病気を悪化させることなく新たな病気に罹らないようにし、健康の方はこれからも病気に罹らないようにするのが望ましいのです。よく、健康のためには、適切な食生活と運動に注意しなさいと言われます。このことはもちろん正しいのですが、その基本となるのは正しい姿勢と呼吸です。さらに、適切な睡眠をとることや、気持の持ち方も人間の免疫機能と深くかかわっています。こうした様々なことに日々の生活の中で少し注意を傾けて、身体全体を良く使い、様々な器官・臓器が互いにコミュニケーションを取りながら統合された身体としての健康を目指すのが、トータルライフケアの目標です。

私は、大学病院で重症の患者さんを診療する経験を通じてトータルライフケアの重要性に思い至るようになりました。そして、この概念を広く普及させることを目指して、昨年本を著しました。さらに、日常生活でのヒントとして、具体的な方法をカードにして提供する冊子も本年3月に刊行致しました。当クリニックでのTLCの指導は、これらの本に述べたことを基本にして実施しております。健康に興味のある方はご一読頂ければ幸いです(院長の著書・監修書の項を参考にしてください)。